There was a man, a very untidy man,
Whose fingers could nowhere be found to put in his tomb.
とある男がいた、とてもだらしのない男だった、
棺桶におさめようにも、そいつの指がどこにも見つからない。
He had rolled his head far underneath the bed:
He had left his legs and arms lying all over the room.
そいつは頭をベッドの下にごろんと転がしたまま、
足も腕も部屋中に散らかしたままだった。

text & tune: 英国の童謡?

「ひとりのおとこが 死んだのさ」ではじまる谷川俊太郎の秀逸な訳詩と、堀内誠一の陰鬱なイラストで日本ではつとに有名なマザーグースのひとつ。
ただし、現在の英米でこの歌がマザーグースに入れられることはほとんどない。



現時点で確認できた音源は、民謡採集家アラン・ローマックス(1915-2002)によって1960年に当時スペインのマヨルカ島在住であった英国の詩人ロバート・グレーブス(1895-1985)から採集されたもののみ。歌唱はグレーブス自身によるもの。また、文献に記載された詩とはやや歌詞が異なっているように聞こえる。




グレーブスによる創作とみなされることもあるが、谷川俊太郎が底本とした『Three Young Rats and Other Rhymes』は1960年より前の1944年に初版となったものであり、作者不詳の童謡と見なして良さそう。
なお、この本の挿絵はモビールと針金を駆使するアメリカのアーティスト、アレクサンダー・カルダー(1898-1976)によるもので、どう見ても子供向けではない不穏なイラストが満載となっている。なんでみんな全裸なんです?